まだ私が熟女マニアだった頃、今から八年くらい前。新宿ゴールデン街の「五番街」と云うバーで週に一回洒落でアルバイトマスターをしていた。そもそも勤めは苦手なので、ある程度時間が経過して、客足も途絶えたな、と思われた時分に別のバーに飲みに行く。その日は「久絽」に友達と立ち寄り、閉店までいた。その後、その店のママと連れ立って「銀河系」と云う店に行った。その途中でひとりの酔っ払いのおっさんと合流したのだが、そのおっさんがウッディ・アレンの広告「おいしい生活」で有名な浅葉克己だった。相当に酩酊していて、銀河系に入るとママに「おまんこやらろ」とか「ここは六本木か?」などと蒸気を逸していた。

私はカウンターでウイスキーを飲みながら、何となくムードのある店のママと会話していた。すると、かの女の申すには、昔ピンク女優をしていて、店に来る客も映画関係者の方が多いということを伺った。ちょうど五十路に差し掛かった風情で私のリビドーはたちまちかの女(伊藤清美)にスパイラルした。その後も、私の職場の店が暇になると「銀河系」に出かけたが、せいぜいトータル三回くらいしか行かなかった。かの女には「男がいる」という醜聞を聞いたせいと、深夜遅くならないと開店しないためでもあったが。

目白ヴァンサンと云う私の名前弟子がいて、そいつがゴチするから飲みに行きましょう、とゴールデン街に久しぶりに出かけたのが、去年の冬だったか。まず「唯尼庵」で一杯飲んで、それから銀河系に向かった。十年ぶりに逢った清美さんはそれなりに老け込んでいたが、とても女らしい声音は変わっていなかった。

前置きが長くなったが、ではこれからビニ本発掘の旅に出かけよう。

清美
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これと云ってクセのない顔面である。そこら辺にいる女性のうち十人に一人はこんな顔をしているような、そんな印象に残らないご面相である。「ラヴタイム」はカラミがあるので、1980年代前半の出版物であろう。清美さんもずいぶんあどけない。乳房87点、乳輪・乳首95点。

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これはなかなかエグイ。私自身で、多少修正を施しておいた。たぶん裏本かもしれない。「少女天国」と云う題名には少し無理がある。どう見ても二十二、三歳である。放尿シーンがあるらしく、ギャラも結構高かったのだろう。ま、放尿までならガマンできるが、スカまでやったら私はファンから退く。この物件の二枚目は「朝日ジャーナル」を掲げている。「エロとイデオロギー」の世界だ。ピンク色のリボンがよく似合っていてかわいらしい。

で、次の物件は映像媒体になるが、せっかくなのでアップしておこう。

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このBON企画のビデオは清美さんと知り合ってしばらくしてから捕獲した物件だ。何度か視聴したが、生来SMとかボンデージに興味がないので、ただ椅子に縛り付けられてもがく清美さんを見ていても結局「抜け」なかった。ただ、私の所有する唯一の清美物件である。今までに何度かオクにも出してみたが、5000円くらいで出していたのでさばけなかった。マニアには10000円でも随喜の涙ものなんだろうけどね。定価は15000円となっている。キャッチ、と云うか但し書きがあって、「犯罪防止のため、こんなことをする前にオナニーで解消」とある。たぶん撮影時期はビニ本ブームが去り、アダルトビデオ期に入ってしばらくして、民精機のビデオカメラが購入しやすくなった80年代後半から90年代初頭だろう。BON企画と云うところは私の立ち上げているレーベル「イヴォンヌ堂」同様、撮影、男優、出荷まで一人でこなしている風情がうかがえる手内職的レーベルで、ジャケットもカラーコピーで凌いでいる。

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この作品は「新東宝」の劇場作品で、私は捕獲し損ねてしまったが、写真だけは保存しておいた。DMMとかの動画でも配信しているので、いつでも閲覧は可能である。大金持ちの資産家が亡くなり、その遺産相続をめぐって三人の女性が名乗り出てくるというよくありがちなストリー。

しかしまぁ、清美さんは「レフトアローン」という硬派な、柄谷行人なんかの出てくる左翼映画でもナレーターをやっていて、活動の幅は年々広がっていった。「ここは私の終の住処ですから」と云ってほほ笑んだ十年前の清美さんの笑顔が忘れられない。

ちなみに、前回「銀河系」に行ったときに知り合いになった出口出こと足立正生監督。私の主宰する「目白過激團」にたいそう興味を示してくれて、名刺までいただいた。先日公演の連絡を携帯にかけたが、「勉強させていただきます」と実に謙虚な方だった。脚本家・出口出こと足立正生監督作品数本については、このブログに何度か書いたので再読していただきたい。
それにしても「銀河系」と云う磁場は私を含め清美さん、足立監督などの惑星を抱えた宇宙である。